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IGBT
- IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)とは、入力部がMOS構造で、出力部がバイポーラ構造のパワー・トランジスタのこと。日本語では、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタと呼ばれている。こうした構造を採用することで、低い飽和電圧(パワーMOSFETのオン抵抗に相当)と、比較的速いスイッチング特性の両立を実現している。
IGBTが最初に製品化されたのは、1980年代前半のこと。現行のIGBTが採用するノンパンチ・スルー型(オフ時に空乏層がコレクタに接触しないタイプ)の製品化が始まったのも1988年とかなり前のことだ。
それから約25年間。素子構造を徐々に改良しながら、飽和電圧の低減とスイッチング特性の改善を少しずつ進めてきた。現在では、飽和電圧は1.5V程度に下がっており、スイッチング特性は50kHz程度に対応できるようになっている。
しかも、バイポーラ・デバイスであるため、同耐圧のパワーMOSFETに比べると、価格がかなり低いというメリットもある。
ただし、スイッチング特性が改善されたとはいえ、パワーMOSFETに比べるとかなり見劣りする。これがIGBTの弱点である。パワーMOSFETを使えば、100kHzを超える周波数での動作が可能である。スイッチング周波数が高ければ、電源回路全体の外形寸法を小さく、重量を軽くできるようになる。従って、電源回路の小型化や軽量化が求められる用途では、IGBTの採用は難しい場合もある。